よく耳にする質問ですが、この一番手は「フッ素」です。
フッ素はどうして虫歯予防に効果があるのでしょうか?
これについて説明させてください。

まず憶えておいてほしいことですが、歯が一番虫歯になりやすい時期は歯が生えてすぐの時期です。
これは乳歯でも永久歯でも一緒です。

島根県松江市の小児歯科に特化した歯科医院
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ブラッシング以外に虫歯予防に有効なものはありますか?
このページの内容は、医療法人かわはら矯正歯科・小児歯科で配布している「お口の健康の話 - フッ素」の内容を再編集したものです。

それが数年後には虫歯になりにくくなります。
これはどういうことかというと、歯の表面はエナメル質という硬い層で覆われていますが、このエナメル質が生えてきたばかりではまだ不完全な状態だからです。
エナメル質はハイドロキシアバタイトという結晶構造からできていますが、生えたばかりのエナメル質はこの結晶構造の中でカルシウムイオンが幾つも抜けた不完全な状態になっているのです。
それが数年か経つうちに、内側からカルシウムイオンを取り込んだり、外側からカルシウムイオンを取り込んだりして、完全な形にかわってきます。
こうなると虫歯になりにくくなります。
ですから大人の人はなかなか虫歯になりにくいのです。
(必ずしも大人のほうが手入れが良いからというわけではないのです。)

さて、この生えてきたばかりの歯にフッ素を塗ります。
するとどうなるか。
フッ素イオンが歯表面のエナメル質の不完全な結晶構造部に入っていって、表面の結晶構造の一部をハイドロキシアバタイトからフルオロアバタイトというより虫歯になりにくい構造にかえます。
このために歯質が強くなるわけです。
ですから、生えてきたばかりの歯にフッ素を塗るということは、意味のあることなのです。
このフッ素を大人の人の歯に塗っても子供ほど効果はありません。
大人の歯はすでに完成してしまっているからです。

 フッ素は、この他にも再石灰化を促進するなど、細かくいうと色々な効用があるのですが、そのなかでやはり虫歯予防のための一番の効用は「歯質を強くする」ということです。

 

フッ素はどれくらいの間隔で塗ったらいいの?

 これもよく聞かれる質問ですが、なかなか返答しづらい質問です。
「数ヶ月に1回定期的に塗ってもらってください」
というのが一般的な答えでしょうが、あえて誤解を恐れずに言うと、
「フッ素を塗るチャンスがあったら、いつでも、何回でも塗ってもらって下さい。」
というのが当院の回答になると思います。
フッ素は低濃度のものをできるだけ数多く使用するほうが効果的であることがわかってきました。
そのため、家庭での虫歯予防にフッ素の使用を考えておられるお母さんには、フッ素入りの歯磨き剤やフッ素入りのうがい剤などを毎日使用するようにお薦めしています。
フッ素は低濃度のものを毎日使用するのが一番効果的です。

ただフッ素にはいろいろ誤解や偏見があります。
確かに、高濃度のフッ素を長期間使用すると顎の中で形成中の歯が斑状歯になる可能性があるという問題もあります。
ただ、通常市販されている低濃度のフッ素入りの歯磨き剤・うがい薬などを毎日使ってもその心配は皆無です。

また、逆にフッ素を虫歯予防の「特効薬」のように思っておられるかたがいらっしゃいますが、前に述べたようにフッ素はあくまでも「歯質を強くする」というだけのものです。
できてしまった虫歯にはほとんど無力です。
何回も述べたように、虫歯は、歯垢中の細菌が出す酸によってできるものです。
やはり、虫歯予防の主役は「酸を作る歯垢を貯めない」ということを忘れないでください