しかし、虫歯菌の供給源である感染牙質を徹底的に削り取ると、炎症部位が小さければ(虫歯菌の数が少ないので)、自身の抵抗力で炎症を抑えて歯髄を健康な状態に回復することが出来ます。

しかしながら、右の大きな虫歯の場合、ぎりぎりまで歯のほうの感染牙質を取ったとしても、すでに歯髄はかなりの数の虫歯菌が入り込んで炎症を起こしているため、神経がだめになることが多いのです。

「出来るだけ歯の神経は取りたくない」というのは、患者さんも歯科医師・歯科スタッフも同じです。

しかし、歯髄が完全に感染してしまっている場合やその可能性がかなり高い場合は、やはり歯の神経を取って治療したほうがベターだと思います。


また、乳歯の歯髄(子供の歯の神経)と、永久歯の歯髄(大人の歯の神経)は全く別のところにあります。子供の歯の神経を取るということは、ひどい炎症から大人の歯・大人の歯の神経を守るということでもあるわけです。


以上のことからわかるのは、非常に平凡な結論ですが、虫歯はやはり早期治療が大事だということです。

虫歯治療の原則は、

1. 感染牙質(虫歯菌にやられてしまった部位)は出来るだけ削り取る

2. 歯髄(歯の神経)は出来るだけ残す

の2つです。

1. について説明すると、充分に感染牙質を除去しないで削って出来た穴を埋めてしまうと、当然、虫歯菌が残ったままですので感染が知らないうちに歯髄(歯の神経)まで進行してしまって、神経が死んでしまうということが起こります。
さらには感染が歯髄だけにとどまらず、歯から歯の周りの骨に移行して歯茎を腫らすという事態に移行します。こうなると歯自体を維持することが難しくなります。

2. について説明すると、歯の神経を取ってしまうと歯自体の物性が弱くなりますので歯が欠けたり割れたりすることがおきてきます。これもひどくなると歯自体を維持することが難しくなります。

よってこの2つのことを守って治療することが重要になってくるわけです。
しかし、この2つ、よく考えると 1.は出来るだけ歯を削る、2.は出来るだけ歯を削らないという相反する考え方です。
虫歯が小さいうちはこの両方の原則を守った治療をおこなうことができるのですが、虫歯が大きくなってくるとこの2つを両立させるのは難しくなってきます。

右の写真を見てください。

歯の中心に虫歯があります。
左が中程度、右がかなり大きな虫歯のある模型です。それぞれの歯の下の図は歯の中の状態がわかるようになっています。
白い部分がエナメル質、黄色い部分が象牙質、ピンクの部分が歯髄(歯の神経)です。

ピンク色の歯髄(歯の神経)を見てください。

上部が赤くなっていますね。
これは炎症が起こっていることを示しています。
虫歯菌が歯髄(歯の神経)の中に入り込んだために起こったわけですが、この炎症、右の大きな虫歯だけでなく、左の中程度の虫歯でも起こっています。
象牙質には歯髄(歯の神経)につながっている無数の細い管があって、そこから虫歯菌が歯髄に入り込んで炎症を起こすわけです。
 

質問: 虫歯は大きいのですが、神経をとらなくてはいけませんか?

島根県松江市の小児歯科に特化した歯科医院
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できるだけとりたくないのですが‥‥‥‥
このページの内容は、医療法人かわはら矯正歯科・小児歯科で配布している「お口の健康の話 - 虫歯が大きくなって乳歯の神経まで進行した!」の内容を再編集したものです。